『最果て』を読む/渦巻二三五
 
四国のお遍路さんを真っ先に思い浮かべる。
 白装束で杖を突いて歩く姿。
 八十八カ所を巡り終えた結願の寺で、涙を流しながら御詠歌をうたう人々の映像を観たことがあるが、あの涙はどういう涙なのだろう。
 四国八十八カ所を巡るのは、本来、個人の願掛けよりも、かつて遍路の途中で命落とした人たちを弔う旅なのだと聞いた。遍路とは、社会からはぐれた者、村社会で養われなくなってしまった者がなかば死に場所をもとめて身をやつすものでもあったそうな。

 この詩に描かれている巡礼たちは、いにしえの四国のお遍路さんのような、世を捨て世に捨てられた、枯れた姿はしていない。現代の、観光がてら「自分探しの旅」をしてい
[次のページ]
戻る   Point(4)