包まれる夏の風景 デッサン/前田ふむふむ
ら、
「カルフォルニアの鉱山の街」と書かれた
寂れた片田舎の西部風の木造家屋の行列がつづく。
疲れている街路灯は、崩れるように破損しており、
そこに、二羽のハトがとまっている。
ふくよかな肉体をクローズアップされる
二羽のハト。
こうして、銃弾の物語は、日常の枕元で、
やわらかく誕生した。
無造作な空白が並び、
やや、時間を置いて、
音の無いざわめきとともに、
かすれて見える、男たちの汗まみれの服に、
突き刺してある饒舌な銃口。
死者の数だけ、鈍くひかっている。
その男たちに寄り添いながら、
地味な模様の着物を着た日本髪の娼婦が、
星条
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