後退と抗体と交替/クリ
ィーいっぱいです
待合室のプラズマディスプレーでデスメタルに没頭しているとしばらくして名前を呼ばれました
『一見さんお断り』の貼紙を横目に奥の診察室への入り口ののれんをくぐると
小股の切れ上がった粋な医者が諸手を上げて出迎えてくれました
「いらっしゃい、お掛けになって」
「はい」
「さて、物忘れがひどくなったのはいつ頃からですか?」
「はっ?」
「…それも覚えてないんですね、アムネシア、と」
「いやいや、まったく、いやいや、なんのことですか、僕は…」
「では、どうしてこちらに来る気になったのですか?」
「だからそれなんですよ。ペダル、ありますよね」
「ミシンの」
「今
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)