後退と抗体と交替/クリ
 
「今どき足踏みのミシンなんかありませんよ」
「分かっています。一輪車です」
「なんで知ってるんですか??」
「それよりも、です、あなたは、診察室に入る前までは、<ボケ>だったでしょう?」
「ボケ?」
「そう、ボケ。でも今は私のほうがボケ、あなたがツッコミです」
「………」
「全然ツッコメてないですけれどね」
私は唖然とするほかなかった。そのとおりだったから
「ボケ抗原にする対するツッコミ抗体の生成能力が弱っているようですね」
しかし、医者の視線は少しも私を非難する色もなく、心から共に成長していこうという気概に満ちていた
「一輪車を利用したのは何故ですか?」
「う〜ん、受けね
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