世界の見つけ方/山中 烏流
 
底の少し剥がれた
スニーカーで、歩く
レンガに反射する光が
私をほんの少し
焼いている
 
とりあえず深呼吸
一回、二回
排気ガスは気にしない
それすらも
世界の一部だと
言って
 
 
行きつけのパン屋の
隣の隣
新しく出来た店に
今日はまだ、行かない
 
行列に並ぶほど
私は暇じゃない
今から少し
世界を、広げに行くから
 
 
 (世間ではそれを
 
 (暇、と
 (言うらしい
 
 
口笛を吹く
それに釣られて
小鳥がやってくる
 
電線の上から
一緒に歌い始める
私以外の誰も
そのことに、気付きはしない
 

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