26歳の森/円谷一
 
ンピース姿の彼女がいた 慌てて駆け出して血色の良い肌の白い彼女の手に触れてみると脈があった 僕は顔を顔に近づけてゆっくりとしかし揚羽蝶の羽の動きのような呼吸を感じると 生きている と頭では分かっているけど頭が天井が真っ暗だけど真っ白になってあたふたした
 僕が何もできずに立っていると彼女の頭が微かに動いてゆっくりと大きな目を開けた 口元に何もないことが不思議なように 彼女は起き上がって 僕の目をじっと見た そして僕の名前を呼んだ
 僕は咄嗟に蚊の鳴くような返事をした 彼女はスローで笑顔を浮かべ 私はこの森の暗闇に食べられたのよと言う
 眉を寄せわけが分からないといった風に指示が効かないリアク
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