哀しみ皇子(5)/アマル・シャタカ
行く人は、本当の哀しみを知る人だ
だが、その人も職人になろうとは思わない」
どうしてさ?
「自分の哀しみで、手が一杯だからね
人の哀しみまで面倒を見切れないのさ」
ぼくは泣いていた
べつにオジサンと離れるのが厭だから泣いたんじゃないのに
オジサンのあとをやる人がいないから?
たぶん、違うの
哀しみマニュアルなら、きっと
オジサンと離れたくないのに離れちゃうから
とか
すばらしいしごとする人が、オジサンを最後に終わっちゃうから
とか、いいそうだけど
違うの、そうじゃないの
言葉ではいえないけど・・・
「皇子はまっすぐな、よい子だね」
オジサンはまた、
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