MERKAVA/10010
も、生と死について、動物的に考えすぎていたのではないだろうか。散々動き回っておいて、忘れ果てたように死ぬ。植物は生と死、以外のなにものかであるというのに。
オウィディウスの変身譚では、様々な人間が死に、そして植物へと昇華する。ときにその名を保って。ナルキッソス、ヒュアキントス、アドニス。植物は生や死、以外のなにものかである。その何かを何と名付ければいいかは解らない。解らないが、それゆえに、それでも、わたしは花の名を憶えよう。名付けよう。名を呼ぼう。名を呼ばずに君を呼ぶことはできない。「君」というのは呼びかけに使う言葉だから。しかし呼びかけても君は居ない。それは名だから。わたしにはもう名前し
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