MERKAVA/10010
憶えていない君を思い出そうと、君を、想って。
そしてまた一周して、君に出会った。何回目だろうか? 何度も出会ったのに初めて出会ったように、初めて出会ったのに何度も出会ったように。否、出会ったのは、君にではなく、君の名だ。言葉はものの殺害。秘すれば花、名づければ枯れる。残っているのは誰のものともしれない名前だけだから、確かめようがないのだが、わたしが記憶の遍歴へと出ている間に、君はもう枯れてしまったのではないだろうか。おそらく。
もう枯れてしまった?
枯らしたのか
死んだのか
殺したのか
神の戦車メルカバを駆る、天使のように
しかしあまりにも、
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