「だらしないイカ」/ソティロ
 
かの屋台の鉄板ではイカ焼きそばを焼き、あるいはお好み焼きを焼き、そのまま焼いているものもあった。げそも、身も。それからイカそうめん。イカ墨スパゲッティ。驚いたのは寿司屋が来ていたことだった。たくさんの酢飯を持ってきて、数人が次から次へイカをさらに適当なかたちに切って握ってゆく。ふつうの握りも、青葉をつけたものも、軍艦巻きもあった。それぞれの職人が次第にいろいろな工夫を始めた。どの屋台も、きっちり料金を取っていた。値段は、とても良心的だった。
 人々は行列をつくり、それぞれ好みのイカ料理を手に取った。先ほどの活気と喧騒が、浜辺に戻っていった。浜辺を覆うほど多くの人たちが、一匹の、いや一杯のイカを分
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