「だらしないイカ」/ソティロ
 
。子供たちの泣き声も聞こえてきた。しかしイカの方は意外にも何の反応も見せずされるがままにしていた。時折、ぶしゅう、ぶしゅうと音を立てて。
 横を見やると彼女はただじいっとイカの様子を目を見開いて見ていた。何の感情もそこからは汲み取れなかった。やがて、イカの音は小さくなり、消えた。



 イカの解体には長い時間がかかった。男はイカを斬り、汗を拭い、そして斬った。刻まれたイカの断片が他の男に渡され、運ばれた。いつの間にか、呼んだのか勝手に来たのか、後ろのほうにいくつか簡単な屋台が出来ていた。イカは斬られた端からどんとんと調理されていった。焼かれたイカのにおいが浜辺を覆った。
 いくつかの
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