「だらしないイカ」/ソティロ
うな、と思った。引き網の時の逆の要領で。
しかし、意外な結論が告げられた。その中で一番偉そうな者が拡声器を使って、宣言をした。「このイカはもう助からない。だから我々はこれからイカを食べる」と。それについてはその場でも賛否両論だった。待ってました、気持ち悪い、かわいそうだ、どうやって…いろんな声が飛び交って、浜辺は騒然となった。ぼくは、決断としては間違っていないし、その勇気は評価しよう、と思った。その時、肩を叩かれた。
「ずっとおったん?」
ぼくの好きな女の子だった。テレビを見て来たらしい。ぼくは事の顛末を話し、イカはこれから食べられるところだ、と彼女に伝えた。
「そうか
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