「だらしないイカ」/ソティロ
 
もあるのだろうか、微動だにしなかった。おっかなびっくりしていた子供たちも、警戒を解き始め、一人がイカの皮膚に触れると、こぞってイカの周りに集まりだした。イカの触感が楽しいらしく、とてもはしゃぎながらぺたぺたという音を立てて笑っていた。そのうち、脚を引っ張る者が出て、よじ登る者が出た頃に、大人が止めにかかり、イカには触れなくなった。



 少し前からスーツ姿の大人がイカの近くに集まって熱心に話をしている。きっと役人たちだろう。イカの今後について話しこんでいた。どうやって海へ帰してやるのか方法を考えているのだろうと思って、自分も考えてみた。きっと縄で括ってここにいるみんなで引っ張るのだろうな
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