哀しみ皇子/アマル・シャタカ
いはない
手の中で哀しみが笑っている
「おまえの哀しみは偽物だ」
ぼくはこんなことをいわれたのは初めてだ
偽物だなんて失礼しちゃう
ちょうど
ぼくと変な人の頭上を
哀示美鳥が(シミジミ〜シミジミ〜)
と、なきながら飛んでいく
しみじみ
「人生なんて思い通りにいくもんかい!それは無知であって、哀しみじゃないよ、皇子」
むずかしいことを言う人だ
「じゃあさあ、きみは知っているのかい?」
ぼくが尋ねると、また、手の中の哀しみが笑う
「だから言ったろう?俺が哀しみを植えているんだよ」
ぼくは感心したので
その人がどうやって哀しみを栽培しているのか聞いてみたけど
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