ユーリさん作「私に名前を授けてください」に寄せる雑文/石原大介
迫しますね。内側
から世界にむかって、分厚い赤い蓋をする。いっぽうで音楽ってのは室内灯のよう
に、そとの光(と闇)にぴかぴかした円い蓋をする。ほんとうは世界にはたくさん
のリズムが、数え切れないくらいの、やさしい音(ね)たちが手をつないで、あふ
れてかえっているのに、僕らは毎日、安物のステレオ装置でびりびりと皮膚や鼓膜
を刺激して自分なんてやつを確認してばかりいる…
今日は実家で、家族と食事。鬱病が完治したことを報告して、今後の生活設計み
たいなことを話し合いました。音楽は続ける。安いアパートへ引っ越す。できるだ
けはやく自活できるようにする。そんなことを皆で取り決めました。
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