『鬱五郎とライオン』/川村 透
染みて
緑や黄色や赤や青がくすぐったくって、
胸のあたりで、こほろぎが鳴いているみたいにくすぐったくてウレシクて涙目のまま
大きい声でハハハハハ、と鬱五郎は笑い続けていたんだ、躁だ。
@鬱五郎はライオンの虫歯にキスしたい、と言う。
鬱五郎とライオンはもとの木陰に戻って来たんだ。
ライオンから降りた鬱五郎はライオンを見つめた/ライオンも鬱五郎を見つめた。
ライオンの灰色混じりの蒼い瞳を見ているうちに
自分もライオンと同じ色の瞳をしている事が、なんだか、トテモ、ユルサレテイル
みたいで、それが何ヨリモ誰ヨリモ大切に思えて来て胸が、
キュン、となったんだって。
ライ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)