『鬱五郎とライオン』/川村 透
うち、
立ち上がったライオンの背中に目を堅く閉じたまま体ごと、
いつのまにか、しがみついていたんだね。
グルル、とライオンは静かに吠え、スタスタと歩き始めた。
目を開いて鬱五郎はそのたてがみを握りしめたんだ、
ライオンはそっと振り向き鬱五郎と目が合ったんだって。
ライオンの灰色混じりの蒼い瞳を見ているうちになんだか
自分もライオンと同じ色の瞳をしているはずだ、と、思えて来たんだって。
グルル、とライオンは再び吠え、ダダダ/ダダダダっと走り始めた。
するとサバンナはバターの香に満ちたねっとりとやさしい油絵のメリーゴウウランド
お日様の廻りを巡る走馬燈みたいに絵の具の色が流れて染み
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