『鬱五郎とライオン』/川村 透
 

ライオンのクチビルをホオばりたいような、
うっとりとタイハイ的なハイトクの思いにとらわれ始めていたんだよ。


@鬱五郎はライオンの虫歯にキスしたい、と思う。


あおぞら、は凄いように硬く重たくて鬱五郎は押し伸ばされてペラペラの紙人形に、
でもされてしまったみたいに、自分の事が薄っぺらに感じられたそうだよ。
仰向けになっているとほんとうに涙がこぼれそうになってきたので、
鬱五郎はライオンのお尻をかき抱くように鬱伏せになったんだって。
するとゆっくりとライオンのお尻が彼をささえて起き上がって来たんだよ。
鬱五郎はぐっとすがりつくように力を込めてお尻をまさぐっているうち
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