『鬱五郎とライオン』/川村 透
、
とでも言うんだか。
ウツクシイ虫歯の話だったね。
鬱五郎はライオンの虫歯がウツクシイ、と思って、
泣き出してしまいそうにさえなったんだよ。
嗚咽がしゃっくりのようにこみ上げて来て、
彼の頭をささえているライオンの後ろ足の根っ子つまりお尻をビブラートして
ライオンはくすぐったかったんじゃないかな、それとも本当に蝿でもいたんだか、
プヴブ!とくしゃみをしたんだ。
ウツクシイ虫歯の事だったね。
鬱五郎はライオンの牙の骨のような白さと
虫歯の黒のコントラストを思うとなんだか
ビューティフルで
アンビリーバーボーで
ホーリィな
変な気持ちになってライオンをアイしたいような
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