『鬱五郎とライオン』/川村 透
 
ーのように起き上がり蛇みたいにくねり、
鬱五郎の首をくすくすと叩いて、
蝿をうっとうしがるように怠惰な仕草でライオンは彼を振り向く。
ゴゴ、と軽く威嚇して見せたが、なんだか余り気が乗らない様子で、
くいくい、と尻尾を鬱五郎の首に巻き付けた。
ぐいぐいっと尻尾に誘われるまま彼は、
ライオンのお尻を枕にして寝っころがり空を見上げたそうだ。


@鬱五郎はライオンの虫歯がウツクシイ、と想う。


そうそう、鬱五郎とライオンは実はサバンナの木陰にいるのだった。
お日様は白いグルグルでHOTでクールで、
熱いんだけど不思議な事にちっとも暑くなくてスカスカと風が心地よい昼下がり、
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