死神の名付け親/ヴィリウ
下さいました。あなたがそう願って呉れた、わたしにはそれが何よりも嬉しかったのです」
以来命の最期まで、この言葉はわたしと共に在りました。
そう云って少年は、はらはらと涙を零しました。
彼はそっと指で少年の頬を拭いました。温かな涙でした。
もう、時間だ。
彼は宵闇の声で少年を促しました。
はい。
少年は小さく答えて、そっと彼の闇色の衣を引きました。
彼は少年の前に膝を折り、顔を寄せます。少年は小さな唇で彼の左の目蓋に口付けし、行って来ます、と囁きました。
彼も少年の額に唇を落とすと、行っておいで、と夜の声で呟きました。
少年は糸紡ぎに似た輪廻に向かって歩き出します。
彼はそ
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