新しい魂/草野春心
 
れた、昨日までの生活・・・それが突如、得体の知れない問いかけとなって自分を圧迫しようとしているのを、Aは肌身に感じていた。
 それは、魂と歴史の戦いだった。宿命と呼べばよいのか、業、と一文字で言えば足るのか、Aには分からなかったがしかし、ただ重厚で、濃密で、血の匂いの微かにする、・・・生き物のような・・・不安だけは分かった。

 *

 生活。
 人生。
 この二つが毒蛇のように絡まりもつれながら、Aの魂を締めつけた。飼いならしているとばかり思っていた怪物。ああ俺はこの蛇に殺される・・・
誤魔化していた。その場しのぎを繰り返した。知ったかぶりをしていた。ああ俺は俺の魂に嘘をついた・
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