書き人知らず/ロカニクス
のに
覚えてもらうための本なのに
そんなこと言われても
生物も無生物も覚えてもらうために
覚えるために存在しているのだから
ときどき
覚えることの終わらぬまま
忘れてしまうことがあり
芸術という腹の埋めれぬものは
その救いがたいものを
埋めるためにあるのだから
現状の自分を責めたくなるのは
仕方のないことかもしれない
けれどそうして
生まれてきたからには
何等かの芸術としての
意図がこめられているのだから
己をニュータイプだと思って
自信を持ち
記憶を全うすればいい
そうなだめて言い聞かせると
本は泣き止み
もう何も言いませんでした
どんど
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