かやのなか/いとう
 
私」であることがたいへんなこの時代に、
その不安定な「私」を見つめることで保とうとする姿勢は、
詩作においてある意味、基本中の基本であり、
その不安定さが露見することは、正しい、と思っている。
そこには嘘や誤魔化しがないからだ。
(嘘を含んだ詩や自分に酔った詩が、巷には溢れている)

自分の嘘を見抜く強さを、かやさんは持っている。
だから、かやさんの詩は、美しい。
とても美しいと思う。



詩人たちへ



もう読みたくはないのだ
わたしは明るい光のもやもやと
たゆたうなかに身を落とした
ここでは視界も聴覚も澱んで
生温くて居心地がいい蜜液のような

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