かやのなか/いとう
 


見詰め過ぎたのだよ秒針の動く早さとたどり着く先と
針と針の間を裂き開いてしまえば
残酷な黒い時が溢れ出すとも知らず
罰を受けたのだよ二度とその指で
太陽を掴もうとするなとイカロスのように

もう聞きたくはないのだ
詠うな絶望にひとすじの炎を揺らめかせた瞳で
惑するな病んだ詩人よ
健全すぎる精神に逃れたわたしを

ああ鋭く笑った美しい病魔が
指先をするりと汚していった




戻る   Point(18)