【おとなのための童話】スキマの恋人編/るるりら
 
どうしは いつまでもいつまでも スキマというスキマに花を植えました

そうしているうちに
そのふたりは おたがいが おたがいであることも忘れてゆきました

忘れても忘れても ふたりはスキマというスキマに花を植えました
かぎりなく花をうえておりますと、こんどは 花が勝手にスキマから生えてくるようになりました 蜜のにおいが立ちこめて おふたりは なにも思い出せない人になっておしまいになり、いずれは風になって しまわれました。

わたしたちは いつも このふたりのことを 忘れて居ますが、このふたりこそがこの世にいる わたしたちすべての人間のルーツです。わたしたちは 忘れんぼうの種族です。
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