*浮き島/チグトセ
のか木陰で戯れるのをやめてこちらに向かって走ってきた。
「ちょっと、二人ともー。喧嘩はよくないよー」
僕は寺内を真正面にとらえた視界の隅にシノを映し込み、直後、シノは砂利につまづいて転んだ。あつあつに熱された砂利にしたたか顔面を打ちつけたようだ。うめき声をあげてゆっくり膝を起こした。「いたたた……」
「なあ」寺内は僕を睨みつけている。「例えばだ。さっきの話で地球最後の生き残りが、俺とお前とシノちゃんと知らないサラリーマンの四人だった場合、お前はいったいどうする?」僕は身動きを取ることができなかった。プロペラの音が、何か大きな生物の鼓動のように、ものすごい速さで早鐘を――
「場所は…
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