岡部淳太郎「迷子 その他の道」に寄せて/ふるる
自身に対して人間が知りえない未知の部分であるようだ。それに対して、旅人は「地下室がありますよ」と言う。もちろん確信を持って言っているわけではないし、旅人の独白であって、老人に直接向けられたものでもない。しかし、分からない問いに対して「YES」と言ってみる、それが迷い人への一つの答え、作者のメッセージであるように私は読める。
生や死というものに直面し、うずくまる時、他人にはその悩みを理解することも、解決することもできない。(そういった外部の者との断絶感というものを表現したであろう詩も、ここにはある)しかし、全てを包み込み、あるいはただ目の前に置いて、「YES」と言ってみる、この肯定の態度が失われて
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