岡部淳太郎「迷子 その他の道」に寄せて/ふるる
。青年だからといって自信に満ち溢れているわけではない。老人だからといって全てを知っているわけではない。ここに、作者の「生」に対するひとつの考え方が出ている、と私は思う。この詩を読むと、生とは一本の確固たる道すじではなく、迷いであるということ、その当たり前のことを認識させられずにはいられない。
では迷い人には救いはないのだろうか?いや、この作品が詩集の丁度真ん中に位置し、不思議な明るさを放っていることに注目してみよう。
この詩の大筋は、城を訪れた旅人が、「LOST CHILD」という題の絵画を見、老人と会話をし、老人との会話に想いをはせるというものだ。淡々とした情景ではあるが、絵画の描写の部分は
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