岡部淳太郎「迷子 その他の道」に寄せて/ふるる
呪縛・宿命のようなものがあるのだ。これは氏の詩を読むたびに私が思うことだ。
さて、この詩集の中でも、それは揺るがない。
今回は、題名にもなっている「迷子」という、大変優れた作品を通して、この詩集を読んでいこうと思う。
ここに出てくる少年・旅人・老人とは、一人の人間の生から死への歴史の象徴だと思うことができる。迷子になった少年、旅を続ける旅人、城にこもる老人。普通ならば人生の象徴として、少年は生き生きと明るく、老人は死へ向かい静かに暗く、描かれるのだろう。しかし、彼らは皆、突き放された視線でもって描かれ、何がしかの不安を抱えている。
少年だからといって生を謳歌しているわけではない。青
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