岡部淳太郎「迷子 その他の道」に寄せて/ふるる
 
思った。

生きている限り、迷子であっても、しゃがみこんで泣くだけでは許されない。わたしたちは、ただひとり行き(生き)づづけていかねばならないらしい。「行こう」これは、詩の中で生と死とを書き続けるという宿命を背負った、作者の自分自身へのエールなのかもしれないが。
こんな風にきっちり最後を固めている作者ではあるが、詩集の中では、城の老人のように、「この城には、地下室があるのだろうか」(私はこの世界、世界につながる自分自身の一部分について、その存在を、知らない)といぶかしんでいるように私には思える。
以下の詩の中にそれが見て取れるのだ。
「私は生きながらにして死んでいるのかもしれない/それで
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