岡部淳太郎「迷子 その他の道」に寄せて/ふるる
れでも私は洗いつづける」(「石を洗う」より)
「僕は自分が求めているものを忘れてしまったのだが」(「求めています」より)
「僕の属性は残酷だ/何の報酬もなく/息を潜めて/次から次へと降ってくる時間を/ひとつずつ丹念に殺してゆく」(「月蝕」より)
私は思う。もしその地下室が、穏やかな眠りを誘う静かな場所であるならば。芳醇なワインが詰まっている蔵ならば。そして大切な人が眠る美しい霊廟であるならば。その存在を知らないのかもしれない岡部さんに、励ましでもなく、慰めでもなく、ただこう呼びかけたいと。
岡部さん、あなたにも、あなたの詩集にも、地下室がありますよ。
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