岡部淳太郎「迷子 その他の道」に寄せて/ふるる
中にあらわれるそれこそが、死に向かって歩き続けているわりには、その瞬間にもその後にもただ呆然と運命を見つめるだけしかない、人の生業を最もよく描いたものだと思う。
私たちは、死に対する時、悲しみや恐怖やドラマを感じもするが、本当は、なすすべもなく、じっと自らの立っている場所(まだ自分だけは生き残っているこの世界)を見つめ、その後は一体どうしてそうなったのかも分からずにうろうろと行き(生き)続け、その後の生は迷いつづけるのだ。どうして自分だけは生きるのか、どこへ行けるのか、まったく分からずに。まるで「迷子」のように。
岡部淳太郎氏の詩集「迷子 その他の道」には死の影がある。それは、亡き妹さんに
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