砂の埋葬。/紅魚
 
 こぼれちゃう、よ。)
あたしの要求に、
あなたは応えてくれるでしょうか。
くすぐったさをこらえて、
じっとしていてくれる、かしら。
いいえ、いいえ、
きっと、
無理だよ、って、
口許にしわ刻んで、笑うんでしょう。
あたしは、
その、やらかい唇から滑り落ちた、

  む。

   り。
  だ。

   よ。

の、優しい響きのひとつひとつにも、
丁寧に、丁寧に、
祈るよに、
砂を、かけてゆきます。

(あたし、
 ほんとうのさいわいを
 ねがったり、しません。
  あなたとの、あんねい。
  それだけが、ほしい)

ぽつぽつと散らばった
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