絵のない絵本のような/朝原 凪人
 
さっちゃんをみつけました。
さっちゃんのなみだはとまってしまいました。

「さ、っちゃん」

おかあさんがさっちゃんをよびました。
さっちゃんは、ゆっくりとおかあさんのところにあるいていきます。
なぜかあしがふるえてきました。

「さっちゃん、きょうはなかないのね。つよいわ。えらいえらい」

おかあさんはくるしそうにいいながら、
さっちゃんのあたまをやさしくやさしくなでてくれました。
すると、ふしぎです。
いままで、さっちゃんのなみだをとめてくれた
おかあさんのまほうのてになでられると、
きょうは、つぎからつぎから、なみだがあふれてきます。
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