「生命至上」が、普遍の価値なのか?/カスラ
 
によって滅びへと至った人類を「悪」だと決めつけることができるのはいったい“誰”なのか。造化の神、あるいは母なる宇宙だと言えるなら、宗教はまだその力を失ってはいないこということになる。言えないならば、全地球的壊滅もまた、生命の発生と同様に、ただの物理的な現象であり、ある時ひとつのα粒子が、人知れず崩壊することに何らの「意味」がないように、やはり何ごとでもないのだろう。

意図して徹底的にニヒリズムにとられるべく書き連ねてみたが、「生きて、在る」ことを「生存」することと捉えることに異を唱えたかったまでである。

私たちの「生存」とは確かに、社会や世界に依存する。そのとき誰もが普遍の価値だとして
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