「生命至上」が、普遍の価値なのか?/カスラ
或は心の中で人口爆発(地球環境科学)を研究する学者は、養老氏よ、よく言ってくれたと手を叩いているのかもしれない。
私たちは既に自らが、安易なヒューマニズムなるものを論する欺瞞を充分に見て、感じてきたはずではなかったか。あの、とあるテレビ局が総出で黄色いシャツを着て、芸能人にマラソン走らせたりするアレや、子供の移植手術のための公開募金で、電話が鳴る度に金額表示のカウンターはあがってゆく光景に感じた違和感ははたして何であったのか。
そもそも、「生命が宝である」、「生命こそが何より大切である」ということに、何故なっているのだろう。価値の発生は、いくつかの宗教や、古代からの感情にその源を遡るこ
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