「よもつしこめに…」への:追記的私信。/カスラ
なのだ。発語がなければ言語はなく、言語がなければ発語もできない。「それを言う者以外の者から、それを聴く者以外の者へ」と、通過してゆく言葉は、自己から発して自己へと還ってゆく。
詩人の欲望は必然的な徒労をいとわず「永遠」と「虚無」とを思考する。そして詩人とは、「永遠」という文字も「虚無」という項目も、誰の辞書にも載っていて、「永遠の謎」あるいは「虚無の深淵」というような慣用句として私たちがそれを用いているにとどまるところの、それらを本当に思惟してしまう人たちでもある。本当は「永遠」と「虚無」とは、市販の辞書には載ってはいない。そして、それこそが、あらゆる誠実な詩人たちの「書く」理由であり、
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