「よもつしこめに…」への:追記的私信。/カスラ
り、そして同時に「書けない」理由なのだろう。
永遠を「永遠」と、虚無を「虚無」と、辞書に載っているその言葉で発語するしかないという「屈辱」。その言葉は太初からその事態であったという呪縛を前に、マラルメは「一冊の書物」という不思議な直観を受けていた。「書かれている言語は違っても聖書は一つしかないように、世の中には元来、ただ一冊の『書物』だけしか存在せず、その掟が世界を支配しているのではないか。作品と作品との間の違いは、正しい『本文』を指し示すために、文明、時代、文字の時代の長き間にわたって提出された版本の違いのようなものにすぎないのである。」(「詩の危機」)
マラルメは“そのこと”を直観
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