式日。/紅魚
 
の足取り、
こどう(Andante)こどうこどう(Presto、presto!)。
先行く背中の、先、の先、
長い水平を見つめて、
あたし、
世界はまるい、なんて、それで、
腕回して捕まえたのです。
(なみが、よぶのでしょう?そんなにうれしそうな、かお。
でもね、うでのなか、まぁるい。
だから、ねぇ、)

触れた場所からさらさらと、
かたちなくしてゆくみたいに離れられなくなって、
借り切った春の片隅、
頬寄せて交わすないしょの後には、
ふたり、
ひっそりと撫で合うように笑ってしまう。
まるで約束していたみたいに。

あんまり夢中ではしゃぐから、
ほら、

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