式日。/
紅魚
背中押す風も、遊びたそうです。
かもめがはやすみたいに鳴き交わして、
烏は、諦め顔のひとこえ。
繋ぐ指先が呼び合うみたいに波を手繰って、
歓声。
それから沈黙の視線は融解して流れて、
海。
一心不乱に身を寄せる手を伸ばす、戯れる。
倒れ込んだ先の空の白、に、目を臥せる。
体温。
ひとかけの季節、零さぬよに分け合って、
大事に大事に囓じるみたいな、
それは、
ふたりだけの式日でした。
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