島 きょうかいせん/水町綜助
は
風化して
くだけて
ちるのもごめんだった
パーカも目の前からの風をはらんで
それはびゅうびゅうびゅうびゅう吹いて
僕じたい帆になって
でもそれで進ませられるのはうしろ
要するに
島に向かっているから
僕は踵を返して
港からの出口へ歩きだした
まっすぐな突堤を戻りながら
すこし顔を上げて見ると
ちょうど出口に海洋博物館みたいな大きな建物がたっていて
その壁一面にとてもおおきく壁画が描かれていた
「巨大なタコ」口を開け
不揃いな歯を大小にむきだして
捲られたカーテンを長い八本の足で締めあげていた
「色とりどりの深海魚」もたくさん描かれ
それもみな
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