島 きょうかいせん/水町綜助
みな牙をむき
そしてすこしわらっていた
小さな鮫をいままさに飲み込もうとしているやつもいた
僕はそれを見て
僕は少し立ち止まり
僕は少し考えて
僕はたばこをくわえて
そして
右へそれた
そして歩き
歩き
歩き
遊泳場まで
歩いた
黒いすなはまに覆われたそこにも
それを吹き飛ばすくらい
風はたくさん吹いていたが
砂浜にはハマナスもヤシの木もすこしだけ
あったし
いっしょに揺れていた
うみにも
りくにも
いかないなら
こうして
境界に
ゆれて
今日は
波打ち際で
目を細めて
縄を編むこともしないで
ほどく
[次のページ]
戻る 編 削 Point(23)