島 きょうかいせん/水町綜助
お堀の中で陣地を奪いあっていて
そしてそれをみて酒などを飲み
たのしむひとが居たんだろう
かえるの
雄たけびと勝ち鬨の声
断末魔と命乞いの声
ただの鳴き声
やんややんやの喝采
ただの鳴き声
その裏側でひっそりと
そうかんがえると
これもしかたがない か
げこ
ただ鳴いた
*
たったひとりの人間のせいかつ
それに疲弊して
突堤に来てみたら
風とひかりがつよすぎた
荒れた海面は光をすなおに映しすぎて揺れて
もう粉々に割れたガラスの破片ばかりだった
うみかぜは
ブーツにきらきらとしぶいて
錆びさせるし
僕は
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