クローバー/優羽
馴染。いや、ただのではなく大切な、だ。私はずっと彼に片思いしていた。そして今もその気持ちは変わらない。けれど待ちきれなかった。彼が私を想ってくれたときには、私は告白された別の人と付き合い始めていた。簡単に言えばすれ違ったのだ。だからこそこの約束は私にとって最後のチャンスだった。
「あ……」
私の線香花火はぽつん、と地面に落ちてしまった。本気でジンクスを信じた訳ではないけれど、二人の未来までもが消えてしまったようで切ない気持ちでいっぱいになった。
「そんな落ち込むなよ。ほら、見ててみ?」
(パチパチパチ、パチパチ、パチ)
消えた。彼の線香花火の光は大きさが小さくなりながらそのまま消えてい
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