クローバー/優羽
「線香花火ってあるだろ?」
「うん」
「知ってるか? 最後まで落ちなかったら、願いが叶うっていうジンクスがあるんだってさ」
「え、そんなの初耳。やりたいやりたい!」
言うと思った、とでも言いたそうに笑い、トートバックの中に手をつっこんでゴソゴソ探し始めた。用意のいい彼のことだからきっと買ってきたのだろう。ほら、と案の定線香花火を出して私に投げた。
「火は?」
「ばっちり」
と、ライターの火をつけてみせた。そんな無邪気な彼をくすくす笑いながら、私たちはこの夏最後であろう花火をはじめた。
「……ねぇ、何お願いするの?」
「そっちは?」
「んー、ずっと一緒にいられますように、と
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