ブランコ/小川 葉
それは夢ではなく
暗闇の中ひとりベッドの上で涙してる自分を
俯瞰から眺めてるデジャブ
突然ひらりとベッドの上から
蝶のように鏡台の前に舞い降りてみて
かみそりを手首にぴたりと当ててみるフィクション
すべてが予定調和である
自分の行動が余計に悲しい
ふたたびこみあげる涙はけっして嘘ではなく
あわてて明かりをつけてみたら拍子抜けに
なにもかもがしらけてしまった
何枚も何枚も
鼻をかんだり涙を拭くための
ティッシュをむしりとる音だけが
虚無たっぷりに部屋に響きわたる静寂の無意味さが
なんとも腹立たしいけれども
なにげにそれも心地よくてたまらない
ついつい
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