春四月、桜の下で/黒猫館館長
 
冬は終わった。
輪転する季節。
陽だまりの中、わたしは想う。
春がきたのだ。
すべてが萌えだす春が。
 

わたしは青い空の下に広がる池を観るために庭へでる。
わたしの愛しい金魚と鯉の様子を見るためである。
厳しい寒を越え、去年より一層澄み渡った池 を棒切れでかき回す。
すると金魚と鯉がスーーーー、、、と池の下層から浮上してくる。

彼らは一匹残らず生きていたのだ。
今年の冬を乗り切って。
わたしはその生命の強靭さに驚嘆する。
その小さな身体に宿る生命の神秘に感動する。
 
ちやぷちやぷと水面でえさを乞うその姿がなんとも愛(う)い。
春とは生命の息吹を感じる
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