クラウディ/渡邉建志
 
なんだって思うだろう、だけどあの当時はそれがショッキングだったんだ、僕だってあの当時生きてたら真似してた可能性だってあるんだ、いまこうやって離れた地点から落ち着いて見ているからあれを「本当にいいもの」ではないと判断してるだけなんだと思うよ。ベートーベンですら、当時では刺激的だったのだ、前衛的だったのだ、ただ彼のものは本質的に必要とされるものだったから残ったんだと思う。だけどその刺激とか前衛性をも今僕が感じられるかというとそれは嘘だ、ドビュッシーを聞いてしまっている、ショスタコも聴いてしまっているんだから。話がずれた。僕は異質な日本語のことを考えていた、たとえばマジメな文章の中に出てくるナース服とか
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