僕は神様/はじめ
落してしまったらしい。まだ微かに意識はあった。僕はちらっと薄目を開けて、何やらガヤガヤと騒がしい周囲の状況を確認してみた。面識の全く無い何人ものよく日焼けした野球部の連中や、陸上競技用のスターターを両手に担いだいかにも上級生っぽそうな人達、ただ単に学校に受験勉強をしに来ただけの学生、そしてついさっきまで僕と同じ教室で追試験を受けていた不真面目で落ちこぼれの集団などがつくる大勢の人混みの輪の中に僕は倒れていた。それは僕が靴下からつくった泥だらけのドーナツのようにも見えなくもなかった。ドーナツの粒子は絶えず蠢いていて、野次馬がそれに群がることによってさらに拡大していった。群衆は僕をまるで突如空から降っ
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